タクシードライバーの求人情報などで、「AT限定も可」の文言を見かけたことがある方もいるかもしれません。
この「AT」は「Automatic Transmission」の略称であり、運転中にギアチェンジをしなくても走行可能な変速システムです。タクシー車両を含む多くの車両に搭載されています。
「AT限定」とは、オートマチック車のみ運転できる運転免許証です。ここでは、AT限定免許のタクシードライバーが、マニュアル車を運転する際に必要なAT限定解除について解説していきます。
AT限定解除をしないままマニュアル車を運転すると免許条件違反になる
AT限定免許のタクシードライバーなどが、マニュアル車を運転した場合、免許条件違反となります。ギアチェンジそのものは慣れることで充分できるようになりますが、法的には違反として扱われるのでご注意ください。
例えば友人などの引っ越しの手伝いで、トラックなどのマニュアル車を運転するパターンが考えられます。もしくは会社によっては、タクシードライバーから観光バスの運転手に配置転換されるケースもあるでしょう。
免許条件違反
免許条件違反は、2点の点数と反則金が科せられます。免許条件違反の反則金は、普通自動車は7,000円、大型自動車は9,000円、自動二輪車は6,000円、原動機付自転車は5,000円です。免許の条件で代表的なものには、眼鏡使用が必須となる「眼鏡等」があります。
普通免許限定解除審査
AT限定解除するためには、普通免許限定解除審査を受けて合格する必要があります。普通免許限定解除審査が開催されているのは以下の2つです。
・運転免許センター
・自動車教習所
1.運転免許センター
技能試験のみのため、審査に合格することで、その日のうちにAT限定解除となることも可能となっています。
2.自動車教習所
1日に2時間の教習を2日間合計4時間受講し、3日目に審査という流れです。ただし4時間は審査に進むまでの最短時間のため、補習が重なれば、より多くの時間数(日数)がかかります。
自動車教習所の講習内容
AT限定解除のために、自動車教習所で行われる講習の内容には、次のようなものがあります。
・車両のスタートとストップ
・クラッチ操作およびギアチェンジ
・坂道発進や踏切の手前における確認などの流れ
・S字走行
・クランク走行
・Uターンなどの方向転換
・縦列駐車
・後ろ向きの駐車
すべて教習所内の講習のため、路上教習はありません。最短の4時間でクリアするためにも、マニュアル車を所有している知人がいるようなら、練習をさせてもらうのもひとつの方法です。
ただし公道ではなく空き地などのスペースで行いましょう。前述した免許条件違反となる恐れがあるためです。
普通免許限定解除審査の合格後の流れ
普通免許限定解除審査の合格後には、技能審査合格証明書が授与されます。
受け取った技能審査合格証明書を3ヶ月以内に運転免許センターで提示することで、運転免許証の裏側に「条件解除」のハンコが押されます。授与後3ヶ月を過ぎた場合は無効となるのでご注意ください。
次の運転免許証の更新後から、表側に記載されていた「AT車に限る」が記されなくなります。