タクシーは無線や予約アプリなどで呼ぶケースもありますが、やはり街中で手を上げてタクシーを拾うイメージが強いかもしれません。映画「ティファニーで朝食を」にて、主演のオードリー・ヘップバーンがタクシーを呼び止めるシーンは印象的です。
ところが現実のタクシーは、どこでも停車できるとは限りません。タクシーの停車は、駐停車禁止エリアと密接な関係があるのです。
道路交通法(第44条)で定められた駐停車禁止エリアとは?
道路交通法(第44条)で定められた駐停車禁止エリアには、次のパターンがあります。
1.駐停車禁止の標識
最もわかりやすい表示として、駐停車禁止の標識が設置されている場所があげられます。
2.歩道などに黄色の線が引かれている場所
歩道の端などに黄色の実線が引かれているところも、代表的な駐停車禁止エリアです。
3.交差点内
交差点内は自動車の通行はもちろんのこと、横断歩道を渡る歩行者の妨げになることから、駐停車禁止エリアとなっています。
4.交差点の縁から5メートル以内
交差点の縁から換算して5メートル以内の範囲も駐車禁止区域です。
5.横断歩道・自転車横断帯
横断歩道の上や横断歩道の端から測って、前後5メートル以内の場所も駐車禁止エリアに該当します。横断歩道の横に自転車横断帯がある場合には、自転車横断帯から前後5メートルの範囲です。
6.坂道
坂の頂上やその近く、急勾配の坂道も駐停車禁止区域に指定されています。
7.バス停
バス停の標識の柱から数えて半径10メートル以内の場所も駐車禁止エリアです。
※運行時間内のみ適用されます
8.安全地帯
道路上に指定されている安全地帯の左側と、安全地帯の前後10メートルの範囲も駐車禁止場所となっています。
9.踏切
鉄道の踏切および、踏切の端から前後10メートル以内のエリアも駐車禁止区域です。
10.軌道敷内
路面電車が走行する軌道敷内も、駐停車禁止エリアに指定されています。東京の場合は都電荒川線の線路の付近が軌道敷内です。
11.トンネル
トンネルは見通しが良くないため、後続車より追突の恐れがあることから、駐停車禁止エリアとなっています。
12.道の曲がり角
道の曲がり角より5メートル以内の範囲も、駐停車禁止区域です。
参考資料:「警視庁・駐停車禁止の場所(道路交通法第44条)」
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kotsu/jikoboshi/genin/chusha/ctihan.html
上記の12の駐停車禁止エリアでは、タクシーの停車が道路交通法違反で処罰の対象となるため、タクシーを呼び止める際には、周囲の状況を確認することをおすすめします。
駐停車禁止エリアは普通自動車第二種運転免許の試験にも使われる
タクシードライバーとして仕事をするために必須の資格として、普通自動車第二種運転免許(通称・二種免許)があります。この二種免許の取得の際の実地試験にも、駐停車禁止エリアが使われるようです。
例えば、バス停の近くに停車するように指示しておきながら、バス停の標識から10メートル以内に停車した時点で不合格となるケースがあります。タクシードライバーは道路交通法を含む法令遵守が基本となることから、厳しい審査が行われるのかもしれません。
「流し」と「付け待ち」
タクシードライバーの営業には、「流し」と「付け待ち」があります。「流し」は、道路を走行中にお客さんをつかむスタイルです。「付け待ち」は、駅や病院などの施設の前にタクシーを停めてお客さんに乗ってもらう方法です。どちらの場合においても、駐停車禁止エリアに停車していると道路交通法違反となります。ご注意ください。