タクシードライバーが交通事故に遭った際の適切な手順

タクシードライバーはお客さんを乗せている以上、安全運転が基本です。とはいえ、どんなに運転技術に長けているドライバーであっても、交通事故のリスクを0%にすることはありえません。ここでは、タクシードライバーが交通事故に遭った際の適切な手順について解説していきます。

タクシードライバーの交通事故は減少傾向

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会では、タクシードライバーの交通事故発生状況を公開しています。

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「交通事故発生状況」
http://www.taxi-japan.or.jp/pdf/toukei_chousa/koutuujikojyoukyou.pdf

こちらの資料によりますと、タクシーの交通事故の発生件数は、平成20年の20,764件から、平成29年には12,008件と減少傾向にあることがわかります。それぞれのタクシー会社が濃密な研修を実施したり、ドライブレコーダーやカーナビゲーションなどの車内設備を充実させていることも、交通事故発生件数の減少につながっているのではないかと思われます。

それから、国土交通省が発表した、事業用自動車の交通事故統計の概要(平成28年版)からは、タクシーの特徴的な事故として、他の車両との追突事故や出会い頭の衝突が多いことがあげられています。

国土交通省「事業用自動車の交通事故統計の概要(平成28年版)」
http://www.mlit.go.jp/common/001191345.pdf

交通事故に遭った際の適切な手順

タクシードライバーが万が一、交通事故に遭ってしまった場合、次の手順で対応することで、その後の処置を良好なものとする可能性が高まります。

1.交通事故被害者の状態をチェックする(人身事故)

交通事故の際に、最初にするべきことは、被害者の状態のチェックです。相手の意識の有無を確認し、怪我をしているようなら救急車を速やかに呼びます。安全な場所に移動させてから、応急処置を行うことも忘れずにしてください。軽傷の場合でも、必ず病院で診察してもらうことを勧めましょう。

2.事故車両の移動

交通事故では二次災害のリスクを最小限にすることも重要なポイントとなります。事故車両を道路の左側に寄せて、後続車からの追突を防ぎます。事故車両が動かせないようなら、ハザードランプの点灯や発煙筒、停止表示板を立てるなどを実施します。

3.警察に届け出る

上記の対応が済みましたら、警察への届け出に移ります。物損事故の場合も同様です。警察が事故現場に到着しましたら、事故現場の調査が開始されます。後から交通事故証明書を発行してもらう際に必要な証拠(実況見分調書)となるので、どんな軽微な事故でも行うようにしてください。

4.タクシー会社に連絡をする

警察への届け出の後に、タクシー会社(正社員などで勤務している場合)に連絡します。タクシー会社が加入している保険会社と、被害者が加入している保険会社同士の示談交渉を進めるためです。事故現場での示談交渉は絶対に行わないでください。

5.相手の連絡先を確認する

特に車両同士の事故の場合、相手の連絡先を確認することで、その後の示談交渉をスムーズに進行させることにつながります。運転免許証やナンバープレート、相手の加入している保険会社の連絡先も含めてメモをしておきましょう。目撃者がいるようなら、目撃者の連絡先も尋ねておくことをおすすめします。

6.事故車両の修理

警察の実況見分が終わりましたら、事故車両を修理するために移動します。タクシー会社から指示があると思われますので、その指示に従ってください。示談の際に弁護士が間に入るケースもあります。

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