タクシー会社への入社後には必ず新人研修が設けられています。タクシー業界経験者の場合には1週間程度、未経験者の場合には1ヶ月ほどが期間の目安です。ここでは、未経験者を例にした新人研修について解説します。
1.タクシードライバーは身体が資本~健康診断
担当者との面談を経て合格しましたら、まず最初に健康診断が行われます。どんな職業や職種でも健康が第一です。特にタクシードライバーは、勤務時間が長時間ということもあり、健康状態が重要視されます。
2.タクシードライバー業務に欠かせない二種免許の取得
タクシードライバーとして仕事をするためには、二種免許(普通自動車第二種運転免許)を取得していることが条件です。
ほとんどの募集要項には、普通自動車第一種運転免許を持っていることと、3年以上の運転経験が記載されています。タクシー車両の多くはオートマチック車のため、AT限定であっても問題ありません。
二種免許の取得費用はタクシー会社が負担することがほとんどです。指定の教習所に通いまたは合宿という形で、運転技能講習を受けることになります。教習所の卒業前に実技試験が行われ、教習所の卒業後、運転免許試験場での学科試験に合格することで、二種免許が入手できます。
3.新規講習~地理試験
二種免許が取得できましたら、次は新規講習に進みます。新規講習は東京のタクシー会社に入社した場合、東京タクシーセンターで受講することになります。新規講習の期間は地理試験に合格するまでの、おおむね4日間ほどです。
多くのタクシー会社では、地理試験の対策をしているため、きちんと講習を受けていれば1回で合格することがほとんどです。
地理試験は全ての問題のうち80%以上の正解正解をすることで合格となります。東京の場合は、都心部の幹線道路や主要観光スポットへのルートなどが出題される傾向があるようです。地理試験の合格後、乗務員証が付与されます。二種免許と乗務員証を手に入れることで、タクシードライバー業務ができるようになります。
新規講習では、地理試験の他、法令や安全や接遇についての講習が行われます。接遇とは接客のことを表した言葉です。
4.社内研修は机上と実地の2種類
地理試験の合格後に行われる社内研修は、机上研修と実地研修の2種類に分かれています。
机上研修
机上研修では、次の6つの項目の講習が実施されます。
①法令
タクシードライバーが知っておきたい道路交通法はもちろんのこと、東京の場合、銀座地区(タクシー業務適正化特別措置法)の法令について学習します。
②接遇
お客さんとの会話を想定したロールプレイングや、一般的なマナーについて学びます。
③車内設備の使い方
タクシー車両内に設置されている無線や料金メーターの使い方や、クレジットカードやICカードの精算などを、できるようになるまで反復練習します。
④給与計算や勤務時間
タクシードライバーの報酬は、基本給+歩合給がスタンダードです。給与やボーナスの計算方法や、隔日勤務などの勤務時間について学習します。
⑤事故防止や営業に関する講習
様々な交通事故の防止法や、実際の営業に関する講習が受けられます。
実地研修
タクシードライバー業務の実践を想定した研修です。先輩指導員から営業エリアの地理や、接客や営業のコツを学びます。メモをしっかり取り、技術を目で盗む姿勢で臨むと、後々大きく役立つでしょう。
5.タクシードライバーとしての初乗務
社内研修の修了後、いよいよタクシードライバーとしての初乗務となります。業務開始後もタクシー会社によっては勉強会なども開かれることがあるようです。ステップアップのための資格試験も用意されているケースもあります。