タクシーの自動運転。まるでSFの近未来のようなイメージを抱いている方も少なくないでしょう。すでにアメリカではWaymo(ウェイモ)が、タクシー自動運転サービス「ウェイモワン」を、2018年12月5日から開始している事実があります。
日本でもZMPと日の丸交通株式会社の共同開発による、自動運転タクシー(レベル3)の実証実験を2018年8月27日から9月8日にかけて、東京都千代田区と港区にて行っています。自動運転レベル3というのは、緊急時以外ではドライバーがハンドルやアクセルやブレーキの操作をしなくても、充分に走行できる状態です。
限定された地域ではありますが、2020年にはバスやタクシーなどの移動サービスを開始することを目標として、開発が進められているほどです。ここでは、タクシーの自動運転が普及することで得られる4つのメリットを紹介します。
タクシーの自動運転の普及で享受できる4つのメリットとは?
タクシーの自動運転システムの普及でユーザーが享受できる4つのメリットには、以下のようなものがあります。
1.ドライバーの負担が減少する可能性
タクシーの自動運転が普及することで、ドライバーの負担が減少する可能性があります。自動運転のレベルは、0から5までの6段階です。2020年代早々に路上を走行する自動運転のタクシーやバスなどの車両は、レベル3以上が想定されています。
自動運転レベル3というのは、前述したように緊急の際を除き、システムが運転に必要な操作を担う状況です。そのため、ドライバーは何かあった時のために、乗車して待機する役割に変わります。
自動運転レベル4になりますと、高速道路などは完全にシステムにおまかせで走行可能な状態です。日本では2025年を目標として、自動運転レベル4の走行エリアを拡大する予定で研究開発が進められています。
2.サービスのレベルが均一化される
タクシーの自動運転が広まるほどに、サービスのレベルが均一化されるでしょう。タクシードライバーごとに運転技術や接客などの対応に差が生じるのは、致し方ない部分があるかもしれません。
必ずしもドライバーだけの問題ではありませんが、自動運転システムが対応することで、ほとんど同じ水準で行われるようになります。
3.最も早く目的地に到着するルートが選択される
タクシーの自動運転システムでは、地図上の目的地までのルートと同時に、渋滞や混雑などの情報をクラウド上で確認することが可能です。そのため、その都度最も早く目的地に到着するルートが選択されるのです。
タクシーのトラブルでありがちな、ドライバーが道に迷ってしまってなかなか目的地に着かない。というケースが減少するのではないかと思われます。
4.将来的には乗車料金が値下げされる確率が高い
家電製品を例にしますと、新製品の頃は高額化する傾向があります。徐々に普及していくことで開発も進められ、価格が安くなっていくと同時に、機能性が高まります。
タクシーの自動運転システムも、当初は設備投資の割合が多くなりますが、時間の経過とともにシステムが安価になるのではないかと予想されます。
将来的には自動運転レベル5のタクシー車両が登場するでしょう。その際、ドライバーが不要となるため、人件費のコストがかからなくなります。結果的に乗車料金の値下げへとつながるかもしれません。
タクシーの自動運転システムの普及で予測される2つのデメリット
タクシーの自動運転システムには多くのメリットがもたらされる一方で、次の2つのデメリットが予測されます。
1.タクシードライバーとのコミュニケーションがなくなる
タクシーの自動運転システムは、基本的にAI(人工知能)がサービスを担当します。そのため、タクシードライバーとの会話を楽しんだり、飲食店などの情報を尋ねることはできなくなる可能性が考えられます。
とはいえ、移動中は静かにしてもらいたい方や、ドライバーとの会話をあまり好ましく感じない方にとっては、煩わしさが減るかもしれません。
2.渋滞の増加
タクシーの自動運転システムが普及すればするほど、電車やバスといった移動手段を選択しない方が増えるため、渋滞も増加する可能性があります。ただしあくまでも、自動運転のタクシーが電車などより安あがりになるという前提での話です。