街中や駅前などで見かける個人タクシー。どことなく簡単に開業できそうな印象があるかもしれませんが、実際には、一定の条件が決められています。資格や認定といった方がニュアンスとしては近いのではないでしょうか。ここでは、個人タクシー開業までの道のりについて解説していきます。
個人タクシー開業の方法は3パターン
個人タクシーの開業方法には、次の3つのパターンがあります。
・新規許可
・譲渡譲受
・相続
1.新規許可
文字通り新規で、個人タクシーの開業資格「一般乗用旅客自動車運送事業」の許可を受ける方法です。地方運輸局が実施する、安全および接遇の試験にて45問中36問以上の正解、地理試験にて40問中32問以上の正解をすることで合格します。
2.譲渡譲受
すでに一般乗用旅客自動車運送事業を取得しているタクシー事業者より、個人タクシーの事業を譲り受けるやり方です。事業者との間で「譲渡譲受契約」を交わし、営業予定エリアの地方運輸局に「譲渡譲受許可申請」を提出後、個人タクシー事業が可能となります。
3.相続
2の譲渡譲受に似ていますが、個人タクシー事業を営んでいる事業者から、個人タクシー事業を「相続」する方法です。
個人タクシー事業を開業するための資格要件
個人タクシー事業の開業をするためには、申請の時点で65歳未満であり、普通もしくは大型の二種免許を持っていることが最低条件です。
申請の時点で35歳未満の場合
・10年以上のタクシー会社勤務
・10年以上の無事故無違反歴
申請の時点で35歳以上40歳未満の場合
①か②のどちらかに該当していることが条件です。
①タクシーもしくはハイヤーの運転手として5年以上の勤務経験(3年以上の継続)
②10年以上の自動車の運転業務での勤務
※タクシーやバスなど二種免許が必要な業務でない運転業務の場合の経験年数は半分として計算されます。例えばトラックの運転業務が10年の場合、5年となります。
申請の時点で40歳以上60歳未満の場合
こちらも①または②のどちらかに当てはまることが条件となります。
①過去25年以内に、10年以上の自動車の運転業務での勤務経験
※二種免許以外の運転業務経験は半分の年数で算出されます。
②過去3年以内に、タクシーもしくはハイヤーの運転業務経験が2年以上
その他、過去5年以内または申請日以降に運転免許証の取消などの法令違反がないことと、過去3年以内もしくは申請日以降に運転免許証の停止処分を受けていないことも資格要件に含まれます。
個人タクシー事業の開業に必要な資金
個人タクシー事業の開業が認可されるためには、一定以上の資金を用意できることも重要なポイントとなります。おおむね200万円以上が常時確保できることが目安と言えるでしょう。
1.設備資金
設備資金の最低ラインは80万円以上です。とはいえ、80万円に満たなくても設備が完備されるようであればクリアできます。
2.運転資金
運転資金の最低基準も80万円以上となっています。
3.車庫費用
月極駐車場の月額料金などが該当します。
4.保険料
自賠責保険や任意保険、共済保険料の年間支払い金額の合計です。
個人タクシーの開業申請に必要な書類
個人タクシー事業の開業申請に必要な書類は以下のようなものがあります。
・運転免許証(二種免許)
・住民票
・戸籍謄本
・試験の合格証書
・営業所および車庫に関する資料(賃貸契約書など)
・タクシー車両の資料(リース契約書など)
・預金通帳の写し
・健康診断書
・自動車保険契約申請書の写し
これらの書類を揃えてから、予定する営業エリアのある地方運輸局に申請します。健康診断書など、受け取りまで時間を要する書類もあるため、申請日の2週間から1ヶ月前を目安に準備をはじめると良いでしょう。